岡さんのいえとは

現在の「岡さんのいえ」。世田谷区上北沢にある昭和の一軒家にはかつて大叔母の岡ちとせが住んでいました。子どものころから私がよく訪れたとても懐かしいところです。

いつも紅茶とケーキで出迎えてくれた大叔母の笑顔や、英語やピアノを教わる大勢の子どもたちの元気な声が思い出されます。

2006年大叔母は「このいえを子どもたちや地域のために役立てて」と言い遺し、天国へと旅立ちました。「遺言を活かしてこのいえに昔のにぎわいを再現したい、でもこんな私的なことに手を貸してくれる人がいるだろうか・・」

けれどふたを開てみたら、たくさんの人たちが駆けつけてくれ、オ-ナ-も素人、スタッフも素人のコミュニティつくりが始まりました。名前は「岡さんのいえTOMO」、そして目指したのは楽しいイベントや集まりを軸にして人々の心がかよいあう「まちのお茶の間」でした。

あれから10年。山も谷もありましたが、今では年間2千人以上の来場者があり、高校の検定教科書に「持続可能な地域の居場所」として載せられるまでにも成長しました。

和室三つの小さな民家に楽しく豊かな時間が流れる日々。多くの方々に支えられての今日があります。

「みんなのまちのお茶の間をつくる」この想いを大切にして次の10年を構想しています。

多様な個性が集い、知恵を絞って心あたたまる場所、ほっと一息つける場所を創ってゆきます。イベントに参加する、活動に加わる、会場を利用する、さまざまな形で私たちを支えていただければ幸いです。

オーナー 小池良実

岡さんのいえの歴史

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1949年(昭和24)から2006年(平成18)までの57年間、このいえには近所の子どもたちに英語やピアノを教えていた岡ちとせが暮らしていました。「このいえを子どもたちや地域のために役立てて」との遺言に従って小池良美(現オーナー / 岡ちとせより家を相続)が2007年に世田谷区地域共生のいえとして「岡さんのいえTOMO」を設立しました。

「地域共生のいえ」とは(一財)世田谷トラストまちづくりが支援する事業で自分の家・建物を地域に役立てる世田谷区の取り組みです。2018年5月現在、「地域共生のいえ」は区内に21ヶ所開設されています。

岡ちとせの生涯
 1907年(明治40)  仙台市で生まれる
 1946年(昭和21)  外務省勤務
 1948年(昭和23)  占領下の沖縄へ派遣
 1949年(昭和24)  上北沢へ転居
 1952年(昭和27)  近隣のこどもたちに英語・ピアノを教え始める
 2006年(平成18)  敬虔なクリスチャンとして神のもとへ召される

 

岡さんのいえ オーナー小池良実からのメッセージ

昭和のお茶の間へようこそ

子どものころから時々訪れた大叔母さんのいえ。

いつも紅茶とケーキと笑顔で出迎えてくれた岡さんのいえ。地域の子ども達に英語とピアノを教え、人のにぎわいが常にあったこのいえ。けれどそれは、個人的な、あまりに個人的な私の記憶。結婚せず、子どももいらっしゃらなかった岡さんが遺したこのいえ。最初はこんな私的なことに、賛同してくださる方っているのだろうか。私一人で何ができるのだろう、そう思っていました。

けれど、ふたを開けてみたら様々な偶然の巡りあわせが重なって、たくさんの方に支えていただき、運営に携わっていただき、現在があります。

こんなことってあるのだな。

そんな感慨がよぎります。岡さんが書き残したお菓子のレシピを再現してくださる方、古ぼけた写真から謎を解き明かしてくださる方、お庭の手入れをしてくださる方、今ではそれぞれの場所を楽しんでくださっている感さえあります。

けれど、遺したいえを維持していく、というのはやはり大変です。どうかこの絶滅危惧種な私たちの活動を皆さんで見守り、支えていただけたらと願う次第です。

最後になりましたが、世田谷トラストまちづくり財団の皆様、トラストまちづくり大学卒業生の皆様、さまざまなかたちで岡さんのいえと出会い、力を貸してくださる皆様に心から感謝いたします。